不倫慰謝料の示談書を作るときの注意点
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不倫慰謝料は、口約束ではなく示談書にしておくことが重要

不倫慰謝料の話し合いがまとまった場合、口約束だけで終わらせるのは危険です。
たとえば、
- 「慰謝料を払うと言ったのに、後から払わない」
- 「もう連絡しないと言ったのに、また接触している」
- 「お金を払ったのに、追加で請求された」
- 「家族や職場には言わない約束だったのに、周囲に話された」
というトラブルが起きることがあります。
不倫慰謝料は、不法行為に基づく損害賠償請求として問題になります。
民法709条は、故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者が、損害賠償責任を負うと定めています。また、民法719条は、数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えた場合、各自が連帯して損害賠償責任を負うと定めています。
不倫慰謝料の示談書は、単に「慰謝料をいくら払うか」を書く書面ではありません。
慰謝料の金額、支払方法、接触禁止、口外禁止、違約金、求償権、清算条項などを整理し、これ以上紛争を広げないための重要な書面です。
示談書に必ず入れておきたい基本事項
不倫慰謝料の示談書では、まず基本事項を明確にする必要があります。
具体的には、次のような内容です。
- 当事者の氏名、住所
- どの行為について解決する示談なのか
- 慰謝料の金額
- 支払期限
- 支払方法
- 振込先口座
- 振込手数料の負担
- 一括払いか分割払いか
- 支払いが遅れた場合の扱い
- 接触禁止の有無
- 口外禁止の有無
- 求償権の扱い
- 清算条項
特に重要なのは、「何についての示談なのか」を明確にすることです。
不貞行為そのものについての示談なのか、離婚慰謝料も含むのか、特定の期間の関係だけを対象にするのか、今後の接触禁止も含めるのかによって、書くべき内容が変わります。
対象が曖昧な示談書を作ると、後から「この件は含まれていない」「追加で請求できる」と争いになることがあります。
慰謝料額と支払期限は具体的に書く
示談書では、慰謝料額と支払期限を具体的に書く必要があります。
たとえば、
- 「慰謝料として金100万円を支払う」
- 「令和〇年〇月〇日限り、指定口座に振り込む」
というように、金額と期限を明確にします。
- 「できるだけ早く支払う」
- 「余裕ができたら支払う」
- 「毎月可能な範囲で支払う」
という書き方では、後でトラブルになります。
また、分割払いにする場合には、
- 毎月の支払額
- 支払日
- 支払回数
- 最終支払日
- 振込先
- 遅れた場合の扱い
を具体的に定めます。
分割払いは、支払う側にとっては負担を軽くする方法ですが、受け取る側にとっては不払いリスクが残ります。
そのため、期限の利益喪失条項を入れることがあります。
たとえば、2回以上支払いを怠った場合には、残額を一括で支払わなければならない、という条項です。
ただし、支払う側からすれば、1日遅れただけで残額全額を請求されるような厳しすぎる条項には注意が必要です。
接触禁止条項は、範囲を明確にする
不倫慰謝料の示談書では、接触禁止条項を入れることがあります。
たとえば、不倫相手が今後、配偶者に連絡しない、会わない、SNSでつながらない、第三者を通じて接触しない、という内容です。
接触禁止条項は、夫婦関係の修復や再発防止のために重要です。
しかし、書き方が曖昧だと、後でトラブルになります。
たとえば、「一切接触しない」とだけ書くと、同じ職場で働いている場合、業務上の連絡まで禁止されるのかが問題になります。
偶然会った場合や、業務上必要な最低限の連絡まで違反になるのかも曖昧です。
そのため、接触禁止条項を入れる場合には、
- 電話、LINE、メール、SNSを禁止するのか
- 面会を禁止するのか
- 第三者を通じた連絡も禁止するのか
- 業務上必要な連絡は例外とするのか
- 偶然の接触はどう扱うのか
- 違反した場合の違約金を定めるのか
を具体的に検討する必要があります。
特に職場不倫の場合には、現実的に守れる内容にすることが大切です。
違約金条項は高すぎる金額に注意する
接触禁止条項と一緒に、違約金条項を入れることがあります。
たとえば、「接触禁止に違反した場合、1回につき金〇万円を支払う」という条項です。
違約金条項は、再接触を防ぐ効果があります。
請求する側にとっては、不倫関係を断つための重要な条項になることがあります。
一方で、請求された側にとっては、過度に高額な違約金や、違反の範囲が曖昧な条項には注意が必要です。
たとえば、
- 偶然会っただけでも違約金が発生する
- 業務上必要な連絡でも違約金になる
- 1回の違反で数百万円を支払う
- 何が違反なのか不明確
- SNSを見ただけで違反になるような書き方
になっていると、後で大きなトラブルになる可能性があります。
違約金を入れる場合には、どのような行為が違反になるのか、違約金の金額が合理的か、現実的に守れる内容かを確認する必要があります。
口外禁止条項は、職場や家族に知られたくない場合に重要
不倫慰謝料の示談では、口外禁止条項を入れることがあります。
口外禁止条項とは、当事者が、不倫や示談内容を第三者にみだりに話さないという条項です。
特に、
- 職場不倫で勤務先に知られたくない
- 家族に知られたくない
- 子どもに知られたくない
- SNSで拡散されたくない
- 地域で噂になることを避けたい
という場合には重要です。
示談書では、
- 当事者以外の第三者に口外しない
- 職場、家族、友人、知人に不必要に告げない
- SNS、掲示板、インターネット上に投稿しない
- 相手方の名誉・信用を害する行為をしない
といった内容を検討します。
ただし、口外禁止にも例外が必要な場合があります。
たとえば、弁護士、税理士、裁判所、警察、家族への最低限の相談、法令上必要な開示などです。
何でも一切話してはいけないという条項にすると、現実的でなかったり、後で争いになったりすることがあります。
求償権を放棄するかどうかは慎重に判断する
不倫慰謝料の示談書で特に注意が必要なのが、求償権です。
不貞行為は、不貞をした配偶者と不倫相手の双方が関係する問題です。
請求者は、不倫相手だけに慰謝料を請求することがあります。
その場合、不倫相手が慰謝料を支払った後、不貞をした配偶者に対して、負担割合に応じた支払いを求めることがあります。
これが求償です。
民法719条は、共同不法行為者が連帯して損害賠償責任を負うことを定めています。
不倫相手が求償権を行使すると、請求者が夫婦関係を継続している場合には、結局、家計に影響が戻ってくることがあります。
そのため、請求する側は、不倫相手に対し、求償権の放棄を求めることがあります。
一方、請求された側からすれば、求償権を放棄すると、慰謝料を全額自分だけで負担することになります。
求償権を放棄する代わりに慰謝料額を下げる、求償権は放棄しない、求償の範囲を限定するなど、交渉上重要なポイントになります。
求償権放棄条項は、意味を理解しないまま署名しないよう注意が必要です。
清算条項は、追加請求を防ぐために重要
示談書には、清算条項を入れることがあります。
清算条項とは、示談書で定めたもののほかには、当事者間に債権債務がないことを確認する条項です。
不倫慰謝料では、慰謝料を支払った後に、
- 「やはり足りない」
- 「別の精神的苦痛がある」
- 「追加で請求する」
と言われることを防ぐために、清算条項が重要になります。
支払う側としては、慰謝料を支払う以上、その件について紛争を終わらせる内容にする必要があります。
一方、請求する側としては、清算条項を入れると、後から追加請求が難しくなることがあります。
たとえば、示談後に別の不貞行為が発覚した場合や、示談書で想定していなかった事情が出てきた場合に、清算条項の範囲が問題になります。
そのため、清算条項を入れる場合には、
- どの期間の不貞行為について清算するのか
- 配偶者に対する請求も含めるのか
- 不倫相手に対する請求だけなのか
- 今後発覚する事実を含むのか
- 接触禁止違反や口外禁止違反は別に請求できるのか
を明確にする必要があります。
謝罪条項を入れるかどうか
不倫慰謝料の示談書では、謝罪条項を入れることもあります。
たとえば、不倫相手が不貞行為を認め、謝罪するという内容です。
請求する側にとっては、金銭だけでなく、相手が事実を認めて謝罪することが重要な場合があります。
一方で、請求された側にとっては、事実関係に争いがあるのに、不貞行為を全面的に認める条項に署名することは危険です。
たとえば、
- 肉体関係はない
- 既婚者だと知らなかった
- 婚姻関係がすでに破綻していた
- 不貞期間や回数に争いがある
という場合には、示談書の文言を慎重に調整する必要があります。
紛争を早期に解決するために一定額を支払う場合でも、「不貞行為を認める」のか、「紛争解決金として支払う」のかでは意味が変わります。
示談書にどの事実を認めるのかは、後のトラブルを防ぐためにも重要です。
公正証書にするかどうか
不倫慰謝料の示談書を公正証書にすることもあります。
特に、慰謝料を分割払いにする場合には、支払いが滞ったときに備えて、公正証書を作成することがあります。
強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておけば、一定の場合に、裁判を起こさずに強制執行を検討できることがあります。
請求する側にとっては、分割払いの不払いリスクを下げる方法になります。
一方、支払う側にとっては、支払いが滞った場合に給与や預金などへの強制執行リスクが高まるため、慎重な判断が必要です。
公正証書にするかどうかは、
- 慰謝料額
- 一括払いか分割払いか
- 支払期間
- 相手の信用性
- 不払いリスク
- 作成費用
- 当事者双方の負担
を踏まえて検討します。
時効が近い場合は、示談交渉だけで安心しない
不倫慰謝料には時効があります。
民法724条は、不法行為による損害賠償請求権について、被害者が損害および加害者を知った時から3年間行使しないとき、または不法行為の時から20年間行使しないときは、時効によって消滅すると定めています。
示談交渉をしているうちに、時効期間が迫ることがあります。
請求する側は、相手と話し合いをしているから大丈夫だと思い込まないよう注意が必要です。
相手が時効完成前に支払義務を認める書面を出しているか、時効完成猶予や更新の問題があるか、訴訟提起が必要かなどを検討する必要があります。
一方、請求された側は、古い不倫について示談書に署名すると、時効の主張が難しくなる場合があります。
時効が問題になりそうな場合には、示談書に署名する前に確認することが重要です。
相手方が作成した示談書にそのまま署名しない
不倫慰謝料の交渉では、相手方や相手方弁護士が作成した示談書が送られてくることがあります。
しかし、そのまま署名押印する前に、内容をよく確認する必要があります。
相手方が作成した示談書は、当然ながら相手方に有利な内容になっていることがあります。
たとえば、
- 慰謝料額が高すぎる
- 支払期限が短すぎる
- 接触禁止の範囲が広すぎる
- 違約金が高額すぎる
- 求償権を放棄させられている
- 口外禁止条項が片面的である
- 清算条項が不十分である
- 事実関係を全面的に認める内容になっている
ということがあります。
示談書は、一度署名押印すると、後から変更することが難しくなります。
「早く終わらせたい」「相手を怒らせたくない」という気持ちだけで署名するのは避けるべきです。
弁護士に相談した方がよいケース
次のような場合には、示談書に署名する前に弁護士へ相談することをおすすめします。
- 不倫慰謝料の示談書を作りたい
- 相手方から示談書が送られてきた
- 慰謝料額が妥当か分からない
- 分割払いにしたい
- 接触禁止条項を入れたい
- 違約金条項の金額が高い
- 口外禁止条項を入れたい
- 求償権放棄の意味が分からない
- 清算条項の範囲が不安
- 肉体関係の有無や不貞期間に争いがある
- 既婚者だと知らなかった
- 夫婦関係が破綻していたと主張したい
- 公正証書にするよう求められている
- 職場や家族に知られずに解決したい
不倫慰謝料の示談書は、慰謝料額だけを決めるものではありません。
示談後の接触、口外、追加請求、求償、強制執行など、将来のリスクを整理するための書面です。
不安がある場合には、署名押印する前に内容を確認することが大切です。
まとめ

不倫慰謝料について話し合いがまとまった場合でも、口約束で終わらせるのは危険です。
示談書を作成し、慰謝料額、支払期限、支払方法、接触禁止、口外禁止、違約金、求償権、清算条項などを明確にしておく必要があります。
特に注意すべきなのは、
- 慰謝料額と支払期限が明確か
- 分割払いの場合、不払い時の扱いが定められているか
- 接触禁止の範囲が広すぎないか
- 違約金が高額すぎないか
- 口外禁止条項が入っているか
- 求償権を放棄するかどうか
- 清算条項の範囲が適切か
- 事実関係をどこまで認める内容になっているか
- 公正証書にする必要があるか
という点です。
示談書は、請求する側にとっては確実に慰謝料を受け取り、再発や口外を防ぐために重要です。
一方、請求された側にとっては、過大な支払義務や不利な条項を避け、紛争を確実に終わらせるために重要です。
焼津総合法律事務所では、不倫慰謝料の示談書作成、示談書のチェック、慰謝料の減額交渉、接触禁止・口外禁止条項の検討、公正証書作成のご相談をお受けしています。
不倫慰謝料の示談書を作りたい方、相手から送られてきた示談書に署名してよいか不安な方は、一度ご相談ください。
よくある質問
不倫慰謝料の示談書は必ず作るべきですか。
示談書は作成することをおすすめします。
口約束だけでは、後から「払うと言っていない」「追加で請求する」「接触禁止の約束はしていない」などのトラブルになることがあります。
慰謝料額、支払期限、接触禁止、口外禁止、清算条項などを書面で明確にしておくことが重要です。
示談書には何を書けばよいですか。
慰謝料額、支払期限、支払方法、振込先、分割払いの場合の条件、支払いが遅れた場合の扱い、接触禁止、口外禁止、違約金、求償権、清算条項などを記載します。
事案によって必要な条項は変わりますので、ひな形をそのまま使うのは注意が必要です。
接触禁止条項は入れた方がよいですか。
不倫関係の再発を防ぎたい場合には、接触禁止条項を入れることがあります。
ただし、職場が同じ場合などは、業務上必要な連絡まで禁止すると現実的でないことがあります。
電話、LINE、SNS、面会、第三者を通じた連絡など、禁止する範囲を具体的に決めることが大切です。
求償権放棄とは何ですか。
不倫相手が慰謝料を支払った後、不貞をした配偶者に対して、負担割合に応じた支払いを求めることを求償といいます。
求償権を放棄すると、後から不貞をした配偶者に負担を求めることが難しくなる場合があります。
慰謝料額や夫婦関係への影響とあわせて、慎重に判断する必要があります。
示談書を公正証書にした方がよいですか。
分割払いの場合や、不払いリスクが高い場合には、公正証書を検討することがあります。
強制執行認諾文言付き公正証書を作成しておけば、支払いが滞った場合に強制執行を検討しやすくなります。
ただし、支払う側にとってはリスクも大きいため、内容を十分確認する必要があります。
相手方が作った示談書に署名してもよいですか。
すぐに署名するのは避けた方がよいです。
相手方が作った示談書には、相手に有利な条項が入っていることがあります。
慰謝料額、違約金、接触禁止、求償権放棄、清算条項、事実認定の文言を確認した上で、署名するか判断する必要があります。
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契約後、まずは相手方に対して内容証明郵便を送り、裁判外で交渉していきます。相手方との交渉により、金額や条件で合意できれば、示談書を作成します。
その後は示談書の内容にしたがって、相手方からその金額の支払いを受けることになります。
ⅱ. 訴訟提起
相手方が不貞行為を認めなかったり、金額・条件で合意できない場合には、裁判所に訴訟提起することになります。
裁判所でお互いの主張を行い、証拠を提出するなどして、こちらの請求・主張が認められるかどうか、認められる場合には金額がどれくらいかを判断してもらいます(判決)。
裁判は、大体1~1か月半に1回のペースで行います。裁判所には、焼津総合法律事務所の弁護士が出頭するので、お客様が裁判所に行くことは原則ありません。例外として、証人尋問を行う際などには、裁判所に出頭して頂きます。
なお、裁判になった場合必ず判決になるわけではなく、裁判上で和解することも多々あります。
弁護士費用
弁護士に依頼する場合、主に以下のような費用がかかります。
| 着手金 | 弁護士に事件を依頼した段階で発生する費用。事件の結果に関係なく返還されません。また、お客様が途中で解約した場合でも返還はされません。 |
|---|---|
| 報酬金 | 事件が成功に終わった場合に、事件終了の段階で発生する費用。 |
| 日当 | 弁護士が事件処理のために外出した場合に発生する費用。 |
| 実費 | 交通費、郵便代、裁判所に納める手続費用など、事件処理のために発生する費用。 |
焼津総合法律事務所の民事事件の弁護士費用の目安
焼津総合法律事務所の民事事件の弁護士費用の目安は、以下の通りです(全て税込額)。
① 着手金:事件等の対象となる経済的利益の額
| 経済的利益の額 | 報酬割合 |
|---|---|
| 金300万円以下の場合 | 8.8%(税込) |
| 金300万円を超える場合 | 金9万9千円及び経済的利益の5.5%に相当する額(税込) |
② 報酬金:委任事務処理により確保した経済的利益の額
| 経済的利益の額 | 報酬割合 |
|---|---|
| 金300万円以下の場合 | 17.6%(税込) |
| 金300万円を超える場合 | 金19万8千円及び経済的利益の11%に相当する額(税込) |
※ 最低着手金は22万円(税込)です。
※ 訴訟の場合は、審級ごとに定めます。
※ なお、事件が極めて難解な場合、事務処理量が極めて多くなることが見込まれる場合等、事案の性質によって、増額する場合があります。
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