不倫相手に「二度と会わない」と約束させることはできるか
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不倫相手との示談で「二度と会わない」と約束してもらうことはできる

配偶者の不倫が発覚した場合、
- 「慰謝料をもらうことよりも、二度と会わないでほしい」
- 「不倫関係を完全に終わらせたい」
- 「また連絡を取り始めるのではないか不安」
と考える方は少なくありません。
このような場合、不倫相手との示談書に、今後、配偶者と私的に会わない、連絡を取らないという「接触禁止条項」を入れることがあります。
たとえば、
- 直接会わない
- 電話しない
- LINE、メール、SNSで連絡しない
- 手紙を送らない
- 第三者を介して連絡しない
といった内容です。
当事者双方が合意すれば、このような接触禁止の約束を示談契約の内容とすることは可能です。
ただし、不倫をされた側が一方的に「今後絶対に会うな」と命令するだけで、当然に法的な接触禁止義務が生じるわけではありません。
実際には、慰謝料請求について示談をする中で、不倫相手の合意を得て、接触禁止条項を定めることになります。
慰謝料請求と接触禁止は別の問題
不倫慰謝料は、不貞行為によって受けた精神的苦痛について金銭賠償を求めるものです。
民法709条は、故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者に、損害賠償責任を定めています。
これに対して、「今後二度と会わない」という約束は、過去の不貞行為に対する慰謝料そのものとは別に、将来の接触を防ぐための合意です。
そのため、「慰謝料100万円を支払う」というだけの示談書を作った場合、当然に将来の接触まで禁止されるとは限りません。
不倫関係を確実に終わらせたい場合には、
- 「慰謝料を支払うこと」
- 「今後、私的な接触をしないこと」
をそれぞれ明確に示談書へ記載しておくことが重要です。
「二度と会わない」だけでは内容が曖昧
示談書に、「乙は、今後甲の夫と二度と会わない」とだけ書くと、後でトラブルになることがあります。
たとえば、
- 「LINEしただけなので会ってはいない」
- 「電話しただけだから違反ではない」
- 「たまたま街で会っただけ」
- 「仕事の話をしただけ」
と主張される可能性があります。
そのため、接触禁止条項では、何を禁止するのかをできるだけ具体的に定めることが大切です。
たとえば、
- 私的に面会しない
- 電話をしない
- LINE、メール、SNSのDM等を送らない
- SNS上でメッセージを送らない
- 手紙を送らない
- 第三者を介して連絡しない
などを検討します。
一方で、禁止範囲を広げすぎると、現実的に守れない条項になることもあります。
そのため、「どのような接触を防ぎたいのか」を考えて、事案に応じて文言を調整する必要があります。
同じ職場の場合は、業務上の連絡をどうするか決める
不倫相手と配偶者が同じ職場で働いているケースは少なくありません。
この場合に、「今後一切の接触を禁止する」とだけ決めてしまうと、現実的に履行できない可能性があります。
同じ部署で働いていれば、
- 会議に一緒に出席する
- メールを送る
- 電話する
- 引継ぎをする
- 業務上会話する
ことが必要になる場合があります。
このようなケースでは、「業務上やむを得ない連絡を除き、私的な連絡または面会をしない」といった例外を設ける方法があります。
さらに、
- 「業務上の連絡も必要最小限とする」
- 「私的なLINEやSNSでの連絡は禁止する」
- 「勤務時間外には面会しない」
など、具体的に決めることもあります。
接触禁止条項は、厳しくすればよいというものではありません。
相手の勤務状況などを考え、実際に守ることのできる内容にすることが重要です。
不倫相手との示談だけでは、配偶者本人を拘束できない
ここは特に注意が必要です。
たとえば、妻Aと夫Bがおり、Bの不倫相手Cとの間で、「Cは今後Bに連絡しない」という示談書を作ったとします。
この示談によって義務を負うのは、原則として示談の当事者であるCです。
夫Bがその示談の当事者でなければ、Cとの示談だけでB自身に「Cへ連絡してはならない」という契約上の義務を負わせることはできません。
そのため、夫婦関係を続ける場合には、不倫相手だけでなく、不貞をした配偶者本人からも、「今後、不倫相手とは私的に連絡・面会しない」という約束を取り付けることがあります。
不倫相手との示談だけを作っても、配偶者本人が何度も不倫相手へ連絡すれば、再接触を完全には防げません。
再発防止を重視する場合には、不倫相手側と配偶者側の双方について考える必要があります。
接触禁止違反に違約金を定めることもある
「二度と会わない」と約束しても、違反した場合に何も決めていなければ、実効性が弱いと感じることがあります。
そこで、示談書では、「接触禁止条項に違反した場合には、違約金として〇万円を支払う」という条項を設けることがあります。
民法420条では、当事者が債務不履行について損害賠償額をあらかじめ予定することができ、違約金は損害賠償額の予定と推定されると定められています。
このような違約金を定めておけば、再接触に対する抑止力になります。
ただし、
- 「一度連絡したら1000万円」
- 「偶然会った場合でも500万円」
というように過度に高額・広範な内容にすると、後に効力が争われる可能性があります。
民法90条は、公の秩序または善良の風俗に反する法律行為を無効としています。
裁判例でも、違約金が実際に想定される損害と著しく均衡を欠く場合には、過大な部分について公序良俗違反が問題になり得るとの判断がされています。
したがって、違約金については、単に高額にすればよいというものではありません。
「1回の違反」とは何かも決めておく
違約金条項を作る場合には、「1回」をどう数えるかも問題になります。
たとえば、1日の間にLINEを10通送った場合、
「10回の違反だから、違約金も10倍」なのか、
「一連の連絡として1回」なのか、
が争われることがあります。
また、
- LINEを送る
- 電話する
- その後会う
という一連の行動が、それぞれ別の違反になるのかも曖昧です。
そのため、違約金を定める場合には、
- 「一連の接触につき」
- 「接触行為1回につき」
- 「再度不貞行為に及んだ場合」
など、どの行為に対して違約金が発生するのかを具体的に検討する必要があります。
特に、「単なる連絡」と「再度の肉体関係」では悪質性が異なります。
接触した場合の違約金と、再度不貞行為をした場合の違約金を分けて定めることも考えられます。
偶然会った場合まで禁止するのか
同じ地域に住んでいる、同じ会社で働いている、共通の友人がいるという場合には、偶然顔を合わせることがあります。
このようなケースまで違反とすると、示談後に無用なトラブルが起こります。
たとえば、
- 「スーパーで偶然見かけた」
- 「会社の会議で同席した」
- 「共通の知人の葬儀で顔を合わせた」
というだけで高額な違約金を請求するのは、適切ではない場合があります。
接触禁止の目的は、通常、不倫関係や私的な交際の再開を防ぐことです。
そのため、
- 「偶然の遭遇は除く」
- 「業務上必要な接触は除く」
などの例外を定めた方が、後の紛争を防ぎやすいことがあります。
相手が先に連絡してきた場合はどうするか
不倫相手Cが「今後Bに連絡しない」と約束していたところ、Bの方からCへ連絡してくることもあります。
この場合、Cが返信すれば接触禁止違反になるのかが問題になりますが、示談書の内容によります。
たとえば、「理由のいかんを問わず一切連絡してはならない」と書いてあれば、返信も違反と主張される可能性があります。
一方、「相手方から連絡があった場合には、連絡しないよう求めるために必要な最低限の返信を除く」といった例外を設けることも考えられます。
不倫相手だけに一方的な義務を課すのではなく、不貞をした配偶者自身にも再接触しない約束をさせておく方が、実際の再発防止には有効です。
示談後に再び不貞行為があった場合
接触禁止の示談をしたにもかかわらず、再び肉体関係を持った場合には、示談書の違約金だけでなく、新たな不貞行為として慰謝料請求が問題になることがあります。
ただし、示談書に違約金条項がある場合、
- 違約金だけを請求できるのか
- 新たな慰謝料も別に請求できるのか
- 両方請求できるのか
は、示談書の書き方や違約金の法的性質によって検討が必要です。
また、示談後に夫婦関係がすでに破綻していた場合などには、新たな不貞慰謝料が認められるかが別途問題になることがあります。
そのため、示談書では、「接触違反に対する違約金」と「再度不貞行為に及んだ場合の扱い」を分けて検討することがあります。
口約束ではなく示談書に残しておく
不倫発覚後、不倫相手本人と話し合い、「もう二度と会いません」と言われることがあります。
しかし、口約束だけでは、後で、
- 「そんな約束はしていない」
- 「連絡しないとは言ったが、会わないとは言っていない」
と争われる可能性があります。
そのため、不倫慰謝料について示談する場合には、接触禁止についても書面にしておくことをおすすめします。
示談書には、
- 慰謝料額
- 支払期限
- 接触禁止
- 違約金
- 口外禁止
- 求償権
- 清算条項
などをまとめて定めることができます。
不倫慰謝料の示談書は、慰謝料を支払わせるだけでなく、今後の紛争を防止するための書面でもあります。
公正証書にすれば「会わないこと」を直接強制できるとは限らない
「公正証書にすれば、二度と会わせないことができますか」と聞かれることがあります。
公正証書にしても、人間関係そのものを物理的に遮断できるわけではありません。
また、金銭の支払義務と、「会わない」「連絡しない」という行為義務では、強制執行の仕組みも異なります。
そのため、「公正証書を作れば警察や裁判所が常に接触を止めてくれる」というものではありません。
実務上は、接触禁止義務を明確に定め、違反した場合の金銭的な違約金を定めることで、再接触を抑止する方法が中心となります。
接触禁止の実効性を高めたい場合には、条項の内容そのものを具体的に作ることが重要です。
一方的に不倫相手を勤務先から辞めさせることはできない
不倫相手と配偶者が同じ職場である場合、
- 「会社を辞めてほしい」
- 「異動してほしい」
と希望する方もいます。
しかし、不貞をされた配偶者が、不倫相手に対して当然に退職や転職を強制できるわけではありません。
示談交渉の中で相手が自主的に異動や退職を約束するケースはあり得ますが、職業選択や生活への影響が大きい内容であるため、慎重に考える必要があります。
また、勤務先へ不倫を暴露し、退職させようとする行動は、名誉やプライバシーに関する別の問題を生じさせる可能性があります。
同じ職場の場合には、退職要求ではなく、
- 私的接触を禁止する
- 業務上必要な連絡のみ認める
- SNSや私的LINEを禁止する
といった現実的な条件を検討する方が適切な場合があります。
接触禁止条項を作るときのチェックポイント
不倫相手との示談で接触禁止を定める場合には、少なくとも次の点を確認します。
- 誰との接触を禁止するのか
- 直接面会を禁止するのか
- 電話、LINE、メール、SNSを禁止するのか
- 第三者を介した連絡も禁止するのか
- 業務上必要な接触をどうするのか
- 偶然の遭遇をどうするのか
- 相手から連絡が来た場合どうするのか
- 違反時の違約金を定めるか
- 再度不貞行為があった場合どうするか
- いつまで接触禁止とするのか
インターネット上のひな形をそのまま使うと、具体的な事情に合わないことがあります。
特に同じ職場、共通の知人がいるケース、子どもを通じた関係があるケースでは、条項の調整が必要です。
弁護士に相談した方がよいケース
次のような場合には、不倫相手との示談をする前に弁護士へ相談することをおすすめします。
- 慰謝料だけでなく、二度と会わないと約束させたい
- 不倫相手と配偶者が同じ職場である
- 接触禁止違反の違約金を決めたい
- 違約金をいくらにすればよいか分からない
- 不倫相手が接触禁止を拒否している
- 配偶者本人にも接触しない約束をさせたい
- 一度示談したのに再び連絡を取り合っている
- 再度不貞行為が発覚した
- 相手方から示談書案を提示されている
不倫問題では、慰謝料を受け取っても、不倫関係が続いてしまえば紛争が解決したとはいえません。
特に夫婦関係を続ける場合には、不倫関係をどのように終わらせるのかを考えて示談することが重要です。
まとめ

不倫相手との話し合いで、「今後、配偶者と二度と私的に会わない・連絡しない」と合意し、示談書に接触禁止条項を入れることは可能です。
ただし、不倫をされた側が一方的に命令するだけで当然に接触禁止義務が生じるわけではなく、不倫相手との合意が必要です。
また、接触禁止条項を定める場合には、
- 面会だけでなくLINEや電話も禁止するのか
- SNSでの接触をどうするか
- 同じ職場の場合の業務連絡をどうするか
- 偶然会った場合をどうするか
- 配偶者から連絡した場合をどうするか
- 違反時に違約金を設けるか
- 再度不貞行為があった場合どうするか
を具体的に決める必要があります。
そして、不倫相手との示談だけでは、不貞をした配偶者本人まで当然に拘束されるわけではありません。
夫婦関係を継続し、再発防止を重視する場合には、配偶者本人にも不倫相手との私的な接触をしないことを約束させることを検討します。
焼津総合法律事務所では、不倫慰謝料請求、不倫相手との示談書作成、接触禁止・違約金条項の検討、再度不貞行為があった場合の慰謝料請求などに関するご相談をお受けしています。
「慰謝料よりも、二度と会わないことを確実にしたい」「示談書にどのような接触禁止条項を入れればよいか分からない」という方は、一度ご相談ください。
よくある質問
不倫相手に「二度と夫・妻に会わない」と約束させることはできますか。
不倫相手が合意すれば、示談書に接触禁止条項を定めることができます。
ただし、一方的に要求しただけで当然に法的義務が生じるわけではありません。
慰謝料の示談交渉の中で、相手の合意を得て書面にすることが重要です。
LINEや電話も禁止できますか。
合意内容として、LINE、電話、メール、SNS、手紙などによる私的な連絡を禁止することは可能です。
ただし、同じ職場の場合には業務上必要な連絡まで禁止すると現実的でないことがあります。
どの接触を禁止するかを具体的に定めることが重要です。
接触した場合の違約金を決めることはできますか。
できます。
示談書で、接触禁止に違反した場合の違約金を定めることがあります。
民法420条でも違約金について規定されています。
ただし、あまりにも高額な違約金は、後に効力が争われる可能性がありますので、合理的な金額を検討する必要があります。
夫・妻の方から不倫相手に連絡した場合はどうなりますか。
示談書の内容によります。
不倫相手だけが接触禁止義務を負っている場合、配偶者から連絡されても返信すれば違反になる可能性があります。
このような問題を避けるため、配偶者本人にも不倫相手へ私的な連絡をしないよう約束させておくことがあります。
同じ職場の場合でも「二度と会わない」と約束できますか。
私的な接触を禁止する合意は可能ですが、同じ職場では完全に顔を合わせないことが難しい場合があります。
そのため、「業務上必要な接触を除き、私的な面会や連絡をしない」など、現実的な内容にすることがあります。
一度示談した後、また不倫していた場合はどうなりますか。
示談書に接触禁止や違約金条項があれば、その条項に基づく請求を検討します。
また、再び肉体関係を持った場合には、新たな不貞行為として慰謝料請求が問題になることもあります。
ただし、示談書の清算条項や違約金条項、再不貞時点の夫婦関係などによって結論が変わるため、具体的な内容を確認する必要があります。
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弁護士が説明した解決策・手続方法や弁護士費用についてお客様がご納得頂き、お客様が焼津総合法律事務所にご依頼を希望される場合、委任契約を締結します。もちろん、一度相談したら依頼しなければいけないということはありません。一度お持ち帰り頂き、ゆっくり検討して頂くことも可能です。
ご依頼後(不貞行為慰謝料の場合)
ⅰ. 相手方と裁判外での交渉
契約後、まずは相手方に対して内容証明郵便を送り、裁判外で交渉していきます。相手方との交渉により、金額や条件で合意できれば、示談書を作成します。
その後は示談書の内容にしたがって、相手方からその金額の支払いを受けることになります。
ⅱ. 訴訟提起
相手方が不貞行為を認めなかったり、金額・条件で合意できない場合には、裁判所に訴訟提起することになります。
裁判所でお互いの主張を行い、証拠を提出するなどして、こちらの請求・主張が認められるかどうか、認められる場合には金額がどれくらいかを判断してもらいます(判決)。
裁判は、大体1~1か月半に1回のペースで行います。裁判所には、焼津総合法律事務所の弁護士が出頭するので、お客様が裁判所に行くことは原則ありません。例外として、証人尋問を行う際などには、裁判所に出頭して頂きます。
なお、裁判になった場合必ず判決になるわけではなく、裁判上で和解することも多々あります。
弁護士費用
弁護士に依頼する場合、主に以下のような費用がかかります。
| 着手金 | 弁護士に事件を依頼した段階で発生する費用。事件の結果に関係なく返還されません。また、お客様が途中で解約した場合でも返還はされません。 |
|---|---|
| 報酬金 | 事件が成功に終わった場合に、事件終了の段階で発生する費用。 |
| 日当 | 弁護士が事件処理のために外出した場合に発生する費用。 |
| 実費 | 交通費、郵便代、裁判所に納める手続費用など、事件処理のために発生する費用。 |
焼津総合法律事務所の民事事件の弁護士費用の目安
焼津総合法律事務所の民事事件の弁護士費用の目安は、以下の通りです(全て税込額)。
① 着手金:事件等の対象となる経済的利益の額
| 経済的利益の額 | 報酬割合 |
|---|---|
| 金300万円以下の場合 | 8.8%(税込) |
| 金300万円を超える場合 | 金9万9千円及び経済的利益の5.5%に相当する額(税込) |
② 報酬金:委任事務処理により確保した経済的利益の額
| 経済的利益の額 | 報酬割合 |
|---|---|
| 金300万円以下の場合 | 17.6%(税込) |
| 金300万円を超える場合 | 金19万8千円及び経済的利益の11%に相当する額(税込) |
※ 最低着手金は22万円(税込)です。
※ 訴訟の場合は、審級ごとに定めます。
※ なお、事件が極めて難解な場合、事務処理量が極めて多くなることが見込まれる場合等、事案の性質によって、増額する場合があります。
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